「悪夢で眠れない」「悪夢障害って何?」といった悩みをお持ちの方に向けたこの記事では、悪夢障害に関する基本的な情報から、その原因や対処法、さらには具体的な治療方法までを詳しく解説します。
この記事を読んで、悪夢障害についての理解を深め、適切な対策を講じることで、快適な睡眠を取り戻しましょう。




本記事の内容
- 悪夢障害の症状
- 悪夢障害の原因
- 悪夢障害の対策
本記事の信頼性
本記事の執筆者は、睡眠健康指導士上級取得、睡眠コンサルタント資格取得、睡眠外来勤務25年以上経験の経験を持つ専門家です。
これらの資格と経験を基に、信頼性の高い情報をお届けします。
この記事を最後まで読めば、悪夢障害についての不安や疑問を解消し、質の高い睡眠を取り戻すための具体的な方法を身につけることができます。快適な眠りと健康的な生活を手に入れるための第一歩を踏み出しましょう。
悪夢障害の主な症状


悪夢障害の症状
内容がリアルで恐ろしく感情を強く揺さぶる夢を見る
私が以前働いていた病院で関わっていた患者さん達の特徴から悪夢障害の特徴的な夢は、非常にリアルで本人にとって強い恐怖や不安や怒りと悲しみなどの感情を呼び起こします。
それがどんなものがあるのかというと
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何かに殺されそうになる
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事故や災害に巻き込まれる
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愛する人を失う
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何かに追いかけられるが逃げられない
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息ができず苦しむ
といった感じで、このような夢は現実と錯覚するほどの生々しさがあり、目が覚めた後もその感情が尾を引くのが特徴ですね。(実際に患者さんから伺う内容も同様のものではありますね。)
特にトラウマが強いものがある場合は同じ夢を何度も繰り返して見てしまうといったケースも多いですよ。
悪夢の最中または直後に目が覚めて、目覚めたあとに強い不安や動揺が残る
夢を見たまま目が覚めることが多く、しかもその夢の内容をはっきりと記憶している場合が多いです。(相談者の方にどんな夢を見ましたか?と聞くと結構リアルな感じで答えていた方が多かったですね)
特に夜間や明け方に目覚めるケースが多く、その後はなかなか眠り直せないこともあります。(私が聞いている限りでも多くが中途覚醒や早朝覚醒を起こしているパターンが多いですよ。)
その眠り治せなかった理由としては悪夢を見た後、単に「怖かった」で済まず、以下の4つの状況が多くて、
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胸がドキドキする
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寝汗をかいている
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強い不安感や抑うつ感が続く
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再び同じ夢を見るのが怖くて眠れない
といった心理的・身体的影響が長時間続くことがあります。(これによって次の日に疲れが残ってしまったといった状態になってしまう方が多かったですよ。)
睡眠の質が著しく低下して、日常生活に支障をきたす事も全然あります!
もっとタチが悪いのが一回のみでなく連日で悪夢を繰り返し見ることで、結構相談を受けた時に以下のような睡眠障害を伴っていた事を覚えていますね。
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夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
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怖くて眠るのを避けてしまう(入眠困難)
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眠っても疲れが取れず、すっきりしない
大体上の3つが多いですが、このように睡眠が断片的になり回復力が低下します。
そういった事から夜に十分な休息がとれなくなることで、日中の機能にも影響が出た方も実際私が知っている限りでも少なくはないのですが、その内容としては以下のものが結構多かったですね。
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仕事や勉強への集中力が下がる
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疲労感が強い
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怒りっぽくなったり、イライラが続く
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気分が落ち込む(うつ状態)
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対人関係を避けたくなる
上の5つが多いのですが、特に悪夢がトラウマ的な出来事に関連している場合は、症状が深刻になりやすく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と重なるケースもあります。(実際に繰り返し悪夢を見てしまっている人が精神疾患が出て悪化する実例もありますよ。)
悪夢障害の原因


精神的ストレスや不安・恐怖
悪夢障害を引き出すものとして日常生活での強いストレス、心配事、不安、恐怖体験などが、悪夢の引き金になる事が多いですね。(今まで関わった方の悪夢障害で相談された方の大半がそんなもんですね)
具体的な例として相談者様の中で多かったものを挙げていきますね。
学校や職場での人間関係のトラブル:関わった方の中では結構多かったですねー!
試験、プレゼン、就職活動などのプレッシャー:あくまでも私の体感上の話をしていきますが、受験生や就活で中々決まらなくて焦っている方がいらっしゃったのかなって印象がありましたね。
事故・事件・自然災害などの恐怖体験:この類の例とは私は出会ってはいませんが、別の病院では特に大きな事故や事件になればなるほど、その時の事を鮮明に覚えていて、それが脳に焼き付いている事から夢でも出てきてしまうという方もいるようですよ。
そういった精神的なストレスや不安から何故悪夢が生まれてくるのか?って事なんですが、強いストレスは脳内の自律神経や感情を司る部位である扁桃体を過剰に刺激してしまって、レム睡眠の質を低下させてしまったり、感情的な夢を誘発してしまうって感じですね(特にトラウマが強ければ強い程発生しやすいですね。)
心の病気(精神疾患)
私が働いていた病院で関わっていた患者様の悪夢障害は結構様々な精神疾患が関わっている事が多くて、そして多いものとして以下のものがありましたね。
PTSD(心的外傷後ストレス障害):トラウマ的な出来事が夢に繰り返し現れる
不安障害:日常的な強い不安が夢に反映される
うつ病:感情のコントロールが困難になり悪夢が増加
解離性障害や統合失調症:幻覚・妄想的な夢を見やすい傾向がある
で私が感じた印象としては特にPTSDとの関りが強いのかなって感じがして、理由としては戦争、災害、暴力、性被害などのトラウマ体験を持つ人がフラッシュバックのような悪夢を見ることが多くて長い間治療されている方もいるからなんですね。
薬の副作用
私が働いていた病院は当然睡眠外来の他に精神外来もありましたので、副作用によって悪夢障害が出たという話も聞く事はありますね。
実際にどんな薬が悪夢障害に繋がってしまうのかという事で、影響を及ぼしてしまう薬剤を例に出してみると、、、。
・抗うつ薬でSSRIやSNRIとかですかね。
・血圧を下げる薬でβ遮断薬
・睡眠薬や抗不安薬の離脱の時(これ結構多かったです)
・ADHD治療薬で覚醒作用のある薬でも起こっていた報告を伺っていますね。
どういう事かというと、今書いた薬は脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンやドーパミン等に影響して、夢の内容を鮮明にし過ぎたり、レム睡眠に干渉する事で悪夢を引き起こすリスクがあるという事なんですね。(勉強会の時に聞いた時は、薬でもあるんや、ってなりました。)
睡眠の質の低下
これは結構睡眠トラブルを起こしている方の中で、更に睡眠の質が低い方が多いのかなって感じではあるんですけど、下の要因で起こるのかなって印象が私の中では強かったですね(相談者や、以前働いていた患者様の統計的に)
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睡眠不足
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睡眠リズムの乱れ(夜勤、徹夜、時差ボケ)
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寝る直前までスマホやパソコンを使う(特にSNSとかで精神的に負荷が起こるやり取りをしている場合が強いですね。)
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カフェインやアルコールの摂取(特に凄く多めに摂取している方で離脱状態になっている方にも強く発生しやすくもあります。)
何故かというと睡眠の質が低いという事は深い睡眠を取れていないという事から、浅い睡眠であるレム睡眠の状態という事になっているので、そのレム睡眠のバランスを上記の内容によって乱してしまう要因となってしまっているんですよね。
それによって感情的な夢を見やすくなってしまって、特に睡眠不足の後にレムリバウンドと言ってレム睡眠の増加が起こってしまう事による悪夢を見る確率が高まってしまったりもするんですよ。
悪夢障害の治療方法


ライフスタイル・生活習慣の改善
悪夢は睡眠の質と密接に関係しているため、以前働いていた睡眠外来や現在の睡眠コンサルの相談者の方に対して多く行う方法としては、睡眠環境や生活リズムの見直しが基本の対策になりますので、以下の内容の対策法を書いておきますね。
対策法と解説
就寝・起床時間を一定に保つ:毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで体内時計が整う。REM睡眠も安定する。
寝る前にスマホやPCをやめる:ブルーライトが脳を覚醒させ、悪夢を見やすくする。寝る1時間前からデジタル断ちが出来る
カフェインやアルコールを控える:特に就寝3〜6時間前の摂取はNG。アルコールは途中覚醒を増やし、悪夢の原因になりやすいので要注意
軽い運動やストレッチを取り入れる:日中に身体を動かすことで深い眠りにつながる。夜は激しい運動は避けて軽めに行うのがいいでしょうね。
就寝前のリラックス習慣:呼吸法、読書、音楽、アロマなどで副交感神経を優位にする。入眠がスムーズにすることが出来る。
上記の方法の中では特に就寝起床時間がバラバラになっている方や、寝る前のスマホによるものが多かったので、まずはそれを改善する事から始めていますね。
就寝起床時間の問題や対策を知りたい方は以下の記事を読んでみてくださいね。
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心理的アプローチ(心理療法)
悪夢の根本的な原因としてストレスやトラウマがある場合、私や以前働いていた病院でやっていた事としては心理的アプローチが非常に効果的だったので、特に種類として多かったものを書いていきますね。(効果も書いておきます)
心理的アプローチの種類と内容
イメージリハーサル療法(IRT):夢の内容を紙に書き出し、結末をポジティブに書き換えて繰り返しイメージトレーニングする方法。悪夢を再構成することで、不安を軽減できる。PTSD患者にも効果が実証されている。
認知行動療法(CBT):ネガティブ思考の癖を見直し、不安やトラウマの捉え方を変えていく。悪夢の頻度や苦痛を減らすことが可能。
トラウマ焦点化治療(EMDRなど):PTSDなど、過去のトラウマが悪夢の原因である場合に有効。眼球運動を使って記憶を処理する。
アプローチの効果として
実際に私が関わった相談者の方や当時は働いていた病院の患者さんのアプローチの効果として分かった事としては大きく以下の2つがあります。
・夢の意味を理解することで恐怖や不安の緩和につながることが出来て、長期的には行う必要はあるが徐々に回復する事が出来ますよ。
・睡眠に対する安心感を取り戻せるので、悪夢障害で悩んでいる場合は早期の対策をお勧めしますね。
医学的な治療(薬物療法)
先ほど書いている対策はせいぜい軽度寄りの中度位の話なので、重度の悪夢障害やPTSDが関与している場合は医師の判断により薬物治療が行われることがあります。(というよりも早めに医療機関に行った方がいいでしょうね)
実際に悪夢障害や、その関与しているPTSDの状態に対して以下の薬物療法を行う事があるので、以下に書いておきますね。
プラゾシン(降圧薬):特にPTSDに伴う悪夢に対して使用され、交感神経の過活動を抑える。海外では標準治療の一つ。
抗うつ薬(SSRIなど):うつ病や不安障害を背景とする悪夢に対して有効。REM睡眠を調整する作用も。
抗精神病薬(必要な場合):強い不安や幻覚を伴うケースで用いられる。副作用があるため慎重に使用される。
睡眠薬:短期的に用いられることもあるが、悪夢を抑える根本治療にはならない。依存性に注意。
最後に
悪夢障害について理解が深まったでしょうか。悪夢障害は、多くの人が経験する問題ですが、適切な対策を講じることで改善が可能です。以下に要点をまとめます。
- 悪夢障害の基本情報
- 悪夢の対処法と予防
- 悪夢の原因と影響
悪夢障害に関する正しい知識を持ち、適切な対処法を実践することで、快適な睡眠を取り戻すことができます。自身の状態に合った対策を見つけ、質の高い生活を送りましょう。